ゴルフメーカーから毎年のように発売される、ドライバー。
私がいたショップでも、毎年のように新作クラブが発表されます。
店頭で接客していると、お客様に「何が変わったの?」とよく聞かれます。
店頭ではなかなかはっきり言わない、新作と旧作の違い4つを教えます。
これからドライバーを買おうとする人の参考になると思います。
新作と旧作で大きな違いはない
結論から述べると、新作と旧作に大きな違いはありません。
残念ながら、新製品を使ったからと言って劇的に飛距離が伸びることもありませんし、スコアがめちゃくちゃ良くなることもありません。
規制が厳しい新作・旧作で性能は変えようがない
なぜ、大きな違いが出せないのか?
それは、ドライバーのヘッドには厳しい規制があるからです。
- 反発係数
- ヘッド体積
- 慣性モーメント(MOI)
規制の概要
規制項目 | 規制値 | 詳細 |
反発係数 (COR) | 最大0.830 | クラブフェースとボールの衝突時のエネルギー伝達効率を示し、これを超えるとルール違反となる。 |
ヘッド体積 | 最大460cc(±10ccの許容範囲) | ドライバーのヘッド体積は460ccが上限で、これを超えると競技での使用が禁止される。 |
慣性モーメント (MOI) | 最大5900 g-cm² | ヘッドの左右慣性モーメントの上限で、これを超えると不適合とされる。 |
テーラーメイドの旧作のQi10 と新作のQi35のコアモデル(ノーマル)のヘッド性能を公開情報で比較した表は以下のとおりです。
テーラーメイド Qi10 vs Qi35 コアモデルヘッド性能比較表
特徴 | Qi10 | Qi35 |
慣性モーメント (MOI) | 約8400 g・cm² | 9000 g・cm²超え |
ヘッドサイズ | 460cc | 460cc |
スピン特性 | 中程度のスピン | 低スピン |
打感 | 硬めの打感 | ソフトな打感 |
音 | 高音 | 低音 |
調整機能 | 基本的な調整機能 | 2つの可動ウェイトによる調整機能 |
デザイン | 伝統的な形状 | より大きなフットプリント、安心感 |
パフォーマンス | 一貫したパフォーマンス | より高い許容性と距離の向上 |
慣性モーメントが違うと思う方がいるかも知れませんが、慣性モーメントの規制は、左右値が5900を超えないこととなっています。
慣性モーメントをさらに比較したのが以下の表です
モデル名 | 上下慣性モーメント (g・cm²) | 左右慣性モーメント (g・cm²) |
Qi10 | 約8400 | 約5242 |
Qi35 | 9000以上 | 約5355 |
左右値は、2つとも大きな差がないのがわかります。
厳しい規制が入ったドライバーのヘッドは、モデルチェンジで数値的な差別化を図ることが難しいというのが現状です。
新作と旧作の違いは「値段」「見た目」「空力」「摩擦係数」
上の画像は、テーラーメイドのニュースリリースの表題部分です。
新作と旧作での性能面で違いを出せるのは以下の4つです
- 値段
- 見た目
- 空力
- 摩擦係数
値段|新作と旧作の値段の差|
値段は、旧作のほうが安いです。
理由は古くなって価値が下がっているからです。
マークダウンやクリアランス品と呼ばれます。
新品価格で比較しても、材料高などの影響を受け、新作のほうが高くなる傾向にあります。
見た目|デザインの変更|
見た目は、デザインの変更に伴い行われます。
商品のイメージカラーがモチーフになることもあります。
数値化できるものではありませんが、視覚情報プレイヤーにが与える影響は無視できないものです。
空力|効率よくヘッドを動かす改良|
空力も、デザインの変更で変わってきます。
クラウンの形状やソールの形状が変わるのは、空力上の効果も計算してのことです。
凹凸の変更などで空気の流れが変わり、より効率的にクラブを動かすことができます。
摩擦係数|ボールを遠くに飛ばす|
摩擦係数は、フェースがボールにどれだけ摩擦を与えるか、というところに影響します。
現在、ボールをより遠くに飛ばすためには、低スピン・高弾道というのが主流です。
テーラーメイドは、SIM2からSTEALTHにモデルチェンジする際に、フェースの材料をチタンからカーボンに変えました。
フェース素材の変化により、摩擦係数は下がり、低スピンのぼーるを打つことが可能となりました。
この4点は現在規制がかかっていないため、モデルチェンジで違いを出すことができます。
しかしながら、性能の違いは、見た目以外は微々たるものです。
メーカーとしては大きな売りにできないのが現状です。
ドライバーは「気に入ったもの」を選んで問題ない
新作のドライバーと旧作のドライバーの間には大きな違いはありません。
あえて、「新作」と「旧作」の違いを挙げるならば以下の2点です。
- 旧作のほうが値段が安い
- 見た目が違う
私ならば、気に入ったものをおすすめします。
どんなに良い性能であったとしても、どんなに値段が安かったとしても、気に入らないドライバーでは楽しいゴルフはできません。
あとは、皆さんのご予算と相談して納得行くものをお買い求めいただけると良いと思います。

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